2011年 08月 27日
超短編小説:10 |
『蝉』
ジジジ…。
蝉が鳴いている。
蝉は何年もの間、地中に潜って過ごす。
木の根に寄り添い、樹液を吸いながらゆっくりと体を作るのだ。
そして、七年後の夏の夕方、ようやく地面から出て木に登る。羽化するために。
夜の闇に紛れ、そっと殻から抜け出る。
翌朝、立派な成虫になった蝉は、早速鳴き始めた。
初めは小さく、やがて大きく。
蝉は力いっぱい鳴いた。来る日も来る日も。
成虫の寿命が一週間というのは嘘だ。
蝉はもっと長く生きた。
しかしある日の夕方、ついに鳴くのをやめた。
もう力は微塵も残っていなかった。いつしか秋の虫が鳴き始めている。
夏は終わろうとしていた。
しばらくして、蝉はあっけなく地面に落ち、そして死んだ。
ジジジ…。
蝉が鳴いている。
蝉は何年もの間、地中に潜って過ごす。
木の根に寄り添い、樹液を吸いながらゆっくりと体を作るのだ。
そして、七年後の夏の夕方、ようやく地面から出て木に登る。羽化するために。
夜の闇に紛れ、そっと殻から抜け出る。
翌朝、立派な成虫になった蝉は、早速鳴き始めた。
初めは小さく、やがて大きく。
蝉は力いっぱい鳴いた。来る日も来る日も。
成虫の寿命が一週間というのは嘘だ。
蝉はもっと長く生きた。
しかしある日の夕方、ついに鳴くのをやめた。
もう力は微塵も残っていなかった。いつしか秋の虫が鳴き始めている。
夏は終わろうとしていた。
しばらくして、蝉はあっけなく地面に落ち、そして死んだ。
by kumoganagareteiku
| 2011-08-27 19:00
| 超短編小説