2011年 11月 05日
超短編小説:12 |
『白き世界に』
それは幻だったのかもしれない。
降りしきる雪の中、老人が横断歩道を渡っていた。
そこへ、トラックが通りかかり、あっという間に老人を撥ねた。
急ブレーキをかけて止まるトラック。
そして訪れた静寂。
凍りついた空気。舞い降りる雪、そして雪。
誰の目にも老人が亡くなっているのは明らかだった。
その時、不思議な事が起こった。
うつ伏せに倒れた老人の背中のあたりに、ぼうっと薄く光る玉が現れたのだ。
それは、とても淡く儚く、そして清浄な光を放っていた。
その光に、ある者はキリストを見たと言い、またある者はお釈迦様を見たと言った。
真偽のほどは、定かではない。
ただ、雪が降っている。
雪はこの世界を真っ白に変えていく。
真っ白に。
それは幻だったのかもしれない。
降りしきる雪の中、老人が横断歩道を渡っていた。
そこへ、トラックが通りかかり、あっという間に老人を撥ねた。
急ブレーキをかけて止まるトラック。
そして訪れた静寂。
凍りついた空気。舞い降りる雪、そして雪。
誰の目にも老人が亡くなっているのは明らかだった。
その時、不思議な事が起こった。
うつ伏せに倒れた老人の背中のあたりに、ぼうっと薄く光る玉が現れたのだ。
それは、とても淡く儚く、そして清浄な光を放っていた。
その光に、ある者はキリストを見たと言い、またある者はお釈迦様を見たと言った。
真偽のほどは、定かではない。
ただ、雪が降っている。
雪はこの世界を真っ白に変えていく。
真っ白に。
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by kumoganagareteiku
| 2011-11-05 19:00
| 超短編小説